2電子マニフェストの義務化について

産業廃棄物の排出事業者は、排出した産業廃棄物の処理を他の業者に委託する場合、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を各業者に交付しなければなりません。このマニフェストは、元々は紙によって管理されていましたが、近年ではインターネットを用いた電子マニフェストも登場し、それに伴ってマニフェストを取り巻くルールにも変化が生じています。その一つが、電子マニフェストの義務化です。今回は、電子マニフェストの義務化の詳細やその対応方法などについて、詳しく解説していきます。

01電子マニフェストは義務なの?

マニフェスト制度がスタートした当初は、紙による交付から始まりました。そして、1998年にインターネットを用いた電子マニフェストが登場し、その後しばらくは紙か電子のどちらかで交付するというのがルールとなっていました。しかし、2020年4月より特別管理産業廃棄物を多量に排出する事業者は電子マニフェストに加入することが義務付けられました。違反すると罰則を科されることになってしまうため、対象の事業者は必ず電子マニフェストを導入しなければなりません。

02電子マニフェスト義務化の詳細

2020年4月より、特別管理産業廃棄物を多量に排出する事業者は、電子マニフェストへの加入が義務付けられましたが、具体的にはどのような事業者が対象となるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

電子マニフェスト 行政の動向

電子マニフェストも段階的に義務対象が拡大されていくことが予想されます

2020年 電子マニフェストの一部義務化をスタート
2018年 環境省が電子マニフェストの普及率を2022年度に70%とすることを閣議決定(電子化普及率: 58%)
環境省が「電子マニフェスト普及拡大に向けたロードマップ」 を策定
2017年 特別管理産業廃棄物を多量に排出する事業者と同廃棄物の処理を受託する産業廃棄物処理業者に「電子マニフェストの使用を義務づける廃掃法改正案」が閣議決定
2005年 国土交通省本省から「電子マニフェスト使用が可能」 とする特記仕様書の記載変更を全国地方整備局宛へ通達
1998年 電子マニフェストの制度化/紙マニフェスト全部義務化へ転換
JWNETが電子マニフェストの運用を開始
1997年 電子マニフェスト制度創設

電子マニフェスト義務化の対象は?

2020年4月1日から、前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が年間50トン以上の事業場を設置している排出事業者は、当該事業場から生じる特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の処理を委託する場合、電子マニフェストの使用が義務付けられます。

義務化の背景

電子マニフェスト義務化の背景には、2016年1月に発覚した食品廃棄物の不正転売事件の影響があるといわれています。同じような事件を起こしてしまわないことはもちろんですが、もし仮に起こってしまった際、紙マニフェストであればそれらを探し、精査するのに大きな時間と労力が必要となってしまいます。行政機関による実態把握、原因究明がより速やかに進めるためには、電子マニフェストによる管理が必要不可欠なのです。

03電子マニフェストを利用しなかった時の罰則

義務対象者が紙マニフェストを交付した場合、都道府県知事は必要な措置を講ずべき旨の勧告を行うことができます。勧告に従わなかった場合は公表され、その後にも措置をとらなければ、措置をとることの命令が下されます。この命令にも違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金という処分が課されます。特別な理由のない場合、義務対象者は必ず電子マニフェストを導入しなければなりません。

マニフェストに関する義務違反と罰則

委託基準違反 5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金又はこの併科
マニフェスト不交付 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
マニフェスト未記載
マニフェスト虚偽記載
マニフェスト保存義務違反
マニフェスト確認義務違反 措置命令の対象

04紙マニフェストに関する義務

電子マニフェストの義務化および罰則について解説してきました。これだけ見ると、義務化の対象にならない限りは紙マニフェストを利用し続けたいと感じる部分もあるかもしれませんが、紙マニフェストならではの義務もあります。

それが、紙マニフェストの保存期間についてです。排出事業者は、紙マニフェストを交付した際、その控えを5年間保存しておかなければなりません。マニフェストの再発行は原則認められていませんので、もしも紛失をしてしまったりすると、それが元で大きなトラブルに発展してしまうこともあるでしょう。

紙マニフェストだからと言って気を抜くのではなく、紙マニフェストならではの保存・管理を徹底していかなければなりません。

もしも紙マニフェストを紛失してしまったら

紙マニフェストは、通常「A・B1・B2・C1・C2・D・E票」の7枚複写式になっており、すべての処理が完了したタイミングでは、排出事業者の手元には「A・B2・D・E票」の4枚が残る形になります。もしもこれらの紙マニフェストを誤って紛失してしまった場合、それぞれの票に対応する別の票のコピーで代用することが可能です。「A・B2票」には「B1票のコピー」、「D・E票」には「C1票のコピー」が代用できます。

ただ、いくら代用できると言っても、入手の際には他の業者に協力を仰いだり、改めてそれらをチェックしたりと、多大な労力を迫られることになるため、紛失しないための施策や体制を整えた方が良いでしょう。

紙マニフェストの保存について

紙マニフェストは、取引のある業者への依頼ごとに新しいものを用意しなければならないため、排出量が多い事業者ほど、貯まっていくマニフェストの量も膨大になります。また先ほども解説した通り、1品目を回収するごとに4枚の票を正しく保存しておく必要があるため、その管理や抜け漏れの防止は想像以上に難しく、また書面を保存しておくためのスペースもしっかり確保しておかなければなりません。

「月ごとにまとめる」「業者ごとにまとめる」など、保存の方法はさまざまですが、かけられるマンパワーや施設規模の都合なども含め、自分たちが最も無理なく・ミスなく実行できる方法を考えるようにしましょう。ちなみに、紙マニフェストの裏面は複写式になっているため、こすれたり重ねすぎたりすると、紙面が汚れてしまうこともあります。せっかく正しく管理していても、汚れが原因で書かれている内容を読み取ることができなくなってしまうと、文書としての正しい効力が失われてしまうため、十分注意してください。

05電子マニフェストの導入方法

義務化の対象となる排出事業者は、急ぎ電子マニフェストを導入する必要がありますが、電子マニフェストを導入するためには、日本廃棄物処理振興センターに対し、Webか書面にて加入手続きを行う必要があります。加えて電子マニフェストをしっかりと活用していくためには、インターネットに接続できるパソコンを準備したり、運用ルールを決めたりと導入までに決めておかなければならないことも少なくありません。また、年間基本料や使用料などのコストがかかるため、そのための予算を確保することも必要です。やろうと思ってその場でできるものではないため、早めにしっかりと準備をし、余裕を持って対応できるようにしておかなければなりません。

06まとめ

排出事業者については、急ぎ対応を進めなければなりません。対象外の排出事業者の場合、電子マニフェストの導入は必須ではありませんが、電子マニフェストには事務処理の効率化や抜け漏れの防止など、導入することによって得られるメリットは多いものです。特にデータの保存については、紙マニフェストの場合は5年間書面を保存しておかなければならないため、その管理にかかるコストは決して安いものではないでしょう。電子マニフェストであれば、これらにかかるコストを大きく削減することができます。義務化の対象となる排出事業者はもちろんですが、それ以外の事業者においても、電子マニフェストの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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