廃棄物処理法で定める産業廃棄物の種類の一つに「廃プラスチック類」があります。プラスチックはさまざまな製品で使われていることから、どのような分野の排出事業者にとっても、他人事では済まない産業廃棄物の一つと言っても過言ではないでしょう。ここでは、廃プラスチック類の概要と、それらを取り巻く問題、そして具体的なリサイクル方法などについて、詳しく解説していきます。
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「産廃担当者が知るべき廃棄物処理法」を1冊にまとめました
新しく産廃担当者となった方向けに、廃棄物処理法を中心に知っておくべきことを簡単に紹介します。
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目次
1. 廃プラスチック類とは?
私たちの生活に身近でさまざまな用途のものがあるプラスチック製品。こうしたプラスチックを製造する過程で生じるプラスチックの破片や、不要になって廃棄処分されるプラスチック製品を産業廃棄物用語では「廃プラスチック類」といいます。
まずは、廃プラスチック類とは一体どのような産業廃棄物を指すのか、その定義や具体例について見て行きましょう。
産業廃棄物の定義
廃棄物には、大きく分けて「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の2種類があります。そして、特定の廃棄物がどちらに分類されるかは、その廃棄物が「事業活動に伴って生じたかどうか」で決められます。そのため、廃棄物そのものが同じであっても、事業活動に伴って生じたものであれば産業廃棄物に、そうでないものであれば一般廃棄物に分類されることもあるということです。
ただし、解釈が難しいものとして、例えば事業所から出るペットボトルや弁当ガラなど、事業活動によって直接排出されるものではないものの、事業活動をしているからこそ出てしまう廃棄物があります。結論から言うと、これらは事業所を管轄する自治体によって、どちらにも判断される可能性があります。少しでも判断に迷ってしまうような廃棄物がある場合は、曖昧なまま処理を進めるのではなく、必ず事前に自治体に確認をとるようにしましょう。
廃プラスチックの具体例
廃プラスチック類の具体例は、「合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む)等固形状・液状のすべての合成高分子系化合物」とされています。
この表記では少々イメージがしづらい部分もあると思いますが、例えばコンテナケース、ビニール袋、発泡スチロール、包装やフィルム類など、材料にプラスチックが含まれているものは、基本的には廃プラスチック類に分類されると思って問題ないでしょう。
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2. 廃プラスチック問題
廃プラスチックは、環境問題への注目などの影響もあり、他の産業廃棄物に比べても大きな課題を抱えているものの一つです。代表的な廃プラスチック問題を紹介します。
輸出処理
廃プラスチック問題の代表的なものの一つが、輸出処理です。廃プラスチックの処理の方法として、日本では長年海外への輸出を行っていました。その主な輸出先が中国だったのですが、2017年末に中国が廃プラスチックの輸入を禁止しました。その後は、中国の代わりとして、台湾や東南アジアへ輸出を行っていましたが、これらの国々も次々に輸入規制を導入。輸出という大きな処理方法を失ったことにより、日本国内で処理をしなければならない廃プラスチックが増加しており、その対応が大きな課題となっています。
海洋汚染
廃プラスチックに関するもう一つの問題が、海洋汚染です。ポイ捨てされたり適切な処分がされないまま海に流されたりした廃プラスチックは、海洋プラスチックとなり、海洋汚染や生態系に悪影響を及ぼしてしまいます。海に流出するプラスチックごみの量は、世界中で年間800万トンという試算が出ていたり、2050年には海洋プラスチックごみの重量が海に住む魚の重量を超えると予測されていたり、非常に大きな問題として、世界規模の課題となっています。
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3. バーゼル法
バーゼル法とは、バーゼル条約に対応する国内法で、正式名称を「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」と言います。
バーゼル条約及びバーゼル法は、輸出入された廃棄物による健康や環境への脅威を防ぐために作られたもので、廃電子基板や使用済鉛蓄電池といった有害廃棄物を輸出入する際のルールについて定められています。
この条約及び法律は、世界の情勢に合わせて都度改正をされてきていたのですが、2021年の法改正により、リサイクルに適さない汚れた廃プラスチックの輸出入が新たに規制対象に追加されることになりました。
法改正以前は、廃プラスチック(PVCを除き)は規制対象外でしたが、法改正後は、基準に合わない廃プラスチックは「規制対象」となります。そのため廃プラスチック輸出国は輸入国や通過国に対して事前通告を行い、同意回答を得たうえで輸出することとなりました。
上記でも、中国や東南アジア諸国が相次いで廃プラスチックの輸入制限を行うようになったと紹介しました。この法改正により、廃プラスチックを輸出して処理することがますます困難になり、今まで以上に廃プラスチックの国内での適正なリサイクルが求められます。
ちなみに、バーゼル条約及びバーゼル法で定めているのは、あくまでも「リサイクルに適さない汚れた廃プラスチック」です。そのため、プラスチック以外の異物が混入していなかったり、泥や油といった汚れが付着していなかったり、裁断されフレーク状になっていたりするなど、一定の条件を満たした廃プラスチックであれば、規制の対象にならずに輸出入することが可能です。
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4. 廃プラスチックの処理
廃プラスチック類の処理の方法には、大きく3つの種類があります。それぞれ紹介していきましょう。
マテリアルリサイクル
廃プラスチック類の材質を活かして、他の製品や別のプラスチック材料として活用する方法が、マテリアルリサイクルです。
衣類や包装用トレイ、コンテナやベンチなどを作る材料として、廃プラスチック類が活用されています。
ケミカルリサイクル
廃プラスチックを化学的に処理し、化学原料として再生する方法が、ケミカルリサイクルです。
高炉の還元剤や熱源として利用されたり、ガス化処理をして水素やメタノールなどの基礎化学品を作ったり、さまざまな方法で活用されています。
サーマルリサイクル
廃プラスチック類の熱エネルギーとしての性質に注目し、熱源として利用する方法が、サーマルリサイクルです。
廃プラスチック類を燃焼させることによって発電や温水利用に活用したり、固形燃料化にしたりなど、数多くの活用手段があります。
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5. 廃プラスチックのよくある質問
廃プラスチックとは何ですか?
廃プラスチックとは、使用後に廃棄されたプラスチック製品、製造過程で出たプラスチックのかす、廃タイヤを含むプラスチックを主な成分とする廃棄物です。それらの廃プラスチックは、大きく「一般廃プラスチック」と「産業廃プラスチック」の2種類に分けられます。
一般廃プラスチックは、主に家庭から出るプラスチックごみのことを指します。
例)使用後のペットボトルや食品用トレイ、ビニール袋、調味料ボトルなど
産業廃プラスチックは、主に工場や店舗などの事業所から出るプラスチックごみを指します。
例)プラスチック製品の製造・加工、流通過程から出るスクラップ類や包装・フィルム類
廃プラスチックはどのように処理されますか?
廃プラスチックは、焼却、埋め立て処理されるものもありますが、そのほとんどはマテリアルリサイクル、サーマルリサイクル、ケミカルリサイクルの3つの処理方法によって再利用されています。
マテリアルリサイクル:
廃プラスチックを新たな製品の材料として再利用するリサイクル法
例)衣類、包装用トレイ、コンテナ、土木建築素材など
サーマルリサイクル:
廃プラスチックを焼却する際の熱エネルギーを熱源として利用するリサイクル法
例)発電や温水利用、固形燃料化など
ケミカルリサイクル:
廃プラスチックを化学的に処理して、新たな製品の原料として再利用するリサイクル法
例)高炉の還元剤、モノマー化してペットボトルや包装容器、油化処理して燃料化、ガス化処理して化学工業の原料など
廃プラスチックの再利用法は、このように多岐にわたります。今後、廃プラスチックの適正な処理と再資源化がさらに進んでいくと思われます。
廃プラスチックはなぜ輸出されるのですか?
廃プラスチックのリサイクルには、手間がかかります。国内でリサイクル処理をするには人件費がかさむため、人件費が安い海外に輸出されてきました。ただ、主な輸出先だった中国が2017年末に廃プラスチックの輸入を禁止しました。その後は、台湾や東南アジアへ輸出していましたが、これらの国々も次々に輸入規制を導入したため、輸出による処理が難しくなり、国内で処理しなければならない廃プラスチックの増加にどう対応していくかが課題となっています。
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6. まとめ
廃プラスチック類の概要や抱える課題、リサイクルの方法などについて解説してきました。最近では、買い物の際などに配られていたビニール袋が有料化するなど、廃プラスチック類に関する問題は世界規模のものとなり、排出事業者はもちろん、個人レベルでも意識をしなければならないものになってきています。今回の記事を参考に、廃プラスチック類に関する理解を深めつつ、正しい向き合い方を検討していきましょう。
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