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マニフェスト制度とは

産業廃棄物の排出事業者が外部の業者に処理を委託する際にマニフェスト(産業廃棄物管理票)を交付し、産業廃棄物に関する正しい情報の伝達、適正な処理の把握をする仕組みを「マニフェスト制度」と言います。ここでは、マニフェスト制度の目的と背景、マニフェストの運用方法、制度に関する罰則などを解説していきます。

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1. マニフェスト制度とは

マニフェスト(産業廃棄物管理票)とは、産業廃棄物の排出事業者がその処理を外部に委託する際に交付しなければならない専用の伝票です。排出事業者は、マニフェストを産業廃棄物と一緒に流通させることによって、産業廃棄物に関する正しい情報を伝達し、適正な処理がおこなわれたかどうか把握しなければなりません。この仕組みを「マニフェスト制度」と言います。

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2. マニフェスト制度の目的と背景

マニフェスト制度は、産業廃棄物の排出事業者が運搬業者、処分業者に委託した産業廃棄物の処理の流れを自ら把握し、不法投棄の防止など適正な処理を確保することを目的とした制度です。

マニフェスト制度が導入される以前は、排出事業者が委託した産業廃棄物がどのように処理されているのか、その流れを把握するのが非常に困難でした。排出事業者の責任も不明確で、不法投棄を未然に防ぐのも難しかったことから、1990年に当時の厚生省(現・厚生労働省。現在の所管官庁は環境省)の行政指導によって、マニフェスト制度が始まりました。

制度の開始当初、マニフェストの使用は任意でした。しかし、産業廃棄物の不法投棄が深刻な社会問題となっていたこともあり、1993年に、産業廃棄物のうち、爆発性や毒性があり、人々の健康や生活環境に被害を及ぼす可能性がある特別管理産業廃棄物について使用が義務化され、1998年には適用範囲がすべての産業廃棄物に拡大されました。さらに、2001年には、中間処理をおこなった後の最終処分の確認も産業廃棄物の排出事業者に義務づけられました。

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3. マニフェスト作成義務の対象者と非対象者

マニフェストを作成する義務があるのは、産業廃棄物の排出事業者です。排出事業者には、マニフェストを作成し、外部の業者に処理を委託した産業廃棄物が適正に処理されたかどうかを確認する義務が課せられています。

一般廃棄物の処理を委託する場合や、排出事業者が自ら産業廃棄物を処理する場合には、マニフェストを作成、交付する必要はありません。また、以下のケースについても、例外的にマニフェストの作成、交付は不要です。

  • 市町村または都道府県に産業廃棄物の処理を委託する場合
  • 廃油処理事業をおこなう港湾管理者または漁港管理者に廃油の処理を委託する場合
  • 古紙や鉄くずなど専ら再生利用の目的となる産業廃棄物の処理をおこなう業者に処理を委託する場合
  • 再生利用認定制度や広域認定制度により環境大臣の認定を受けた者に、その認定品目にある産業廃棄物の処理を委託する場合
  • 再生利用に係る都道府県知事の指定を受けた者に、その指定品目にある産業廃棄物の処理を委託する場合
  • 運搬用パイプラインや、これに直結する処理施設を用いて産業廃棄物の処理をおこなう者に処理を委託する場合
  • 産業廃棄物を輸出するため運搬をおこなう者に、わが国から相手国までの運搬を委託する場合
  • 海洋汚染防止法の規定により許可を受けて廃油処理事業をおこなう者に、外国船舶から発生した廃油の処理を委託する場合
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4. マニフェストの運用方法

マニフェストには、紙マニフェストと電子マニフェストの2種類があります。それぞれ、以下のような流れで運用されています。

紙マニフェストの運用方法

産業廃棄物の排出事業者は、紙マニフェスト(A~E票の7枚つづりの複写式伝票)に必要事項を記入し、A票を手元に保管して運搬業者に処理を委託する際に交付します。マニフェストは、処理が終了するまで産業廃棄物とともに流通していきます。運搬業者は、運搬が終了したらB1票を手元に保管し、B2票を運搬終了後10日以内に排出事業者に返送します。処分業者は、処分が終了したらC1票を手元に保管し、D票、E票を処分終了後10日以内に排出事業者に返送します。排出事業者は、返送されてきたマニフェスト(B2票、D票、E票)と交付時に手元に保管したA票を照合して、作業が終了したことを確認します。
紙マニフェストは、5年間保管する義務があります。票ごとに、どの業者が、いつを基準に5年間保管するかは廃棄物処理法で定められています。排出事業者は毎年、1年間に交付したマニフェストを集計して、産業廃棄物管理票交付等状況報告書を都道府県知事等に提出する義務があります。

電子マニフェストの運用方法

電子マニフェストでは、加入している産業廃棄物の排出事業者、運搬業者、処分業者が、情報処理センターが運用・管理する電子マニフェストシステムを介して情報をやり取りします。排出事業者は委託業者に産業廃棄物を引き渡してから3日以内に、マニフェストの情報を情報処理センターに登録します。運搬業者、処分業者は作業終了後3日以内に、必要事項を入力して作業が終了したことを情報処理センターに報告します。排出事業者は、情報処理センターからの通知によって、運搬、処分の作業が終了したことを確認します。
電子マニフェストのデータは情報処理センターで保管・管理されるので、業者はマニフェストを保管する必要がなく、産業廃棄物管理票交付等状況報告書の提出も不要です。

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5. マニフェスト制度に関する罰則

産業廃棄物の排出事業者、処理の委託を受けた運搬業者、処分業者がマニフェストに関して以下のような義務違反をした場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

  • 排出事業者がマニフェストを交付しなかった、
    または規定する事項を記載せずもしくは虚偽の記載をしてマニフェストを交付した
  • 運搬業者が排出事業者にマニフェストの写しを送付しなかった、
    または規定する事項を記載せずもしくは虚偽の記載をして送付した
  • 運搬業者が、処分業者にマニフェストの写しを回付しなかった
  • 処分業者が排出事業者にマニフェストの写しを送付しなかった、
    または規定する事項を記載せずもしくは虚偽の記載をして送付した
  • 排出事業者、運搬業者、処分業者がマニフェストまたはその写しを5年間保存しなかった
  • 運搬業者、処分業者が、産業廃棄物の運搬または処分を受託していないにもかかわらず、虚偽の記載をしてマニフェストを交付した
  • 運搬業者、処分業者がマニフェストの交付を受けていないにもかかわらず、産業廃棄物の引渡しを受けた
  • 運搬業者および処分業者が処理または処分を終了せず、マニフェストの送付または報告をした
  • 排出事業者が、情報処理センターに虚偽の登録をした
  • 運搬業者、処分業者が、運搬、処分が終了した旨を情報処理センターに報告しなかった
    もしくは虚偽の報告をした
  • 排出事業者、運搬業者、処分業者が、マニフェスト関して出された措置命令に違反した

マニフェストの不適正な処理がおこなわれた場合、都道府県から措置命令を受けることがあり、それに従わない場合には、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金またはその両方が科せられることになります。

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6. マニフェスト制度のよくある質問

Q

マニフェスト制度の目的とは何ですか?

A

マニフェスト制度とは、産業廃棄物の排出事業者が運搬業者、処分業者に産業廃棄物の処理を委託する際にマニフェストを交付することによって、処理の流れを自ら把握し、不法投棄の防止などの適正処理を目的とした制度です。

Q

マニフェスト制度が導入され、適用範囲が拡大されてきたのは、どのような背景によるのでしょうか?

A

かつては、排出事業者が委託した産業廃棄物の処理の流れを把握するのが非常に困難でした。排出事業者の責任も不明確で、不法投棄を未然に防ぐのも難しかったことから、1990年に当時の厚生省の行政指導によって、マニフェスト制度が始まりました。当初、マニフェストの使用は任意でしたが、産業廃棄物の不法投棄が深刻な社会問題となっていたこともあり、1993年に特別管理産業廃棄物への使用が義務化され、1998年にすべての産業廃棄物に適用範囲が拡大されました。2001年には、中間処理をおこなった後の最終処分の確認も排出事業者に義務づけられました。

Q

マニフェスト制度に関する罰則にはどのようなものがありますか?

A

産業廃棄物の排出事業者、処理の委託を受けた運搬業者、処分業者が、マニフェストを交付しなかった、虚偽の記載をした、報告義務に違反した、マニフェストの保存義務に違反したなど、マニフェストに関する義務違反をした場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。マニフェストの不適正な処理がおこなわれ、都道府県から措置命令を受けたのに従わない場合には、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金またはその両方が科せられることになります。

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