マニフェスト(産業廃棄物管理票)は、産業廃棄物の排出事業者が外部の業者に処理を委託する際に交付しなければならない専用の伝票で、いくつかの種類があります。ここでは、マニフェストの種類による違い、項目ごとの記入内容などについて解説していきます。
お役立ち資料
9割通る!電子マニフェスト稟議申請書ひな形の決定版
⽇々の業務で忙しい中、せっかく苦労して書いた稟議書の決裁が通らないという経験をされた⽅もいらしゃるのではないでしょうか?社内稟議でお困りの⽅へ、「9割通る」かつ「低労⼒で」稟議書が書けるコツをご紹介します。
PDFで詳しく見る
1. マニフェストとは
委託した産業廃棄物が契約内容どおり適正に処理されたか確認するための伝票
マニフェストとは、処理委託した産業廃棄物が契約内容どおり適正に処理されたか確認するための管理伝票です。産業廃棄物の排出事業者が、その処理を外部の業者に委託する際に交付しなければなりません。
産業廃棄物の種類、数量、運搬業者名、処分業者名などが記入されており、委託した産業廃棄物の処理が終わるまで、これらの廃棄物とともに移動します。排出事業者は、マニフェストを産業廃棄物と一緒に流通させることによって、産業廃棄物に関する正しい情報の伝達と適正な処理の把握をおこなわなければなりません。
お役立ち資料
PDFで詳しく見る
2.マニフェストの種類
マニフェストには、いくつかの種類があります。
媒体による分類
媒体の違いによる分類には、複写式の伝票を使った紙マニフェストと電子情報を活用する電子マニフェストの2種類があります。
紙マニフェスト…廃棄物の管理をおこなうための複写式の伝票
紙マニフェストは紙の書類で、一般的にA票・B1票・B2票・C1票・C2票・D票・E票の7枚複写式になっています。廃棄物の排出事業者が処理を委託した業者に交付し、処理工程ごとに業者が該当する項目を記入し、保管、流通させることによって、廃棄物の管理をおこないます。
低コストですぐに作成でき、導入に特別な技術や環境を必要としない点がメリットです。一方、記載間違いや記載もれ、紛失のリスクがあるなどのデメリットがあります。
電子マニフェスト…マニフェスト情報を電子化し、ネットワークでやりとりをする仕組み
電子マニフェストとは、マニフェスト情報を電子化し、ネットワークでやりとりをする仕組みです(1998年12月より運用開始)。
紙マニフェストに比べ、事務処理が効率化し、確実性が向上する点、いつでも閲覧できるのでリアルタイムで処理状況が把握しやすい点などがメリットです。ただし、電子マニフェストを導入するにはコストがかかり、利用するには排出事業者だけでなく、業務を委託する運搬業者、処分業者も日本廃棄物処理振興センターが運営する電子マニフェストシステム(JWNET)に加入していなければならないといったデメリットがあります。
なお、2020年4月1日より、前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が年間50トン以上の事業場を設置している排出事業者は、紙マニフェストではなく、電子マニフェストの利用が義務付けられました。
紙マニフェストと電子マニフェストの違いは?
記載すべき内容は同じですが、運用の仕方などは異なる部分があります。
紙マニフェストには5年間の保管義務がありますが、電子マニフェストは自社で保管する義務はなく、 情報処理センターで5年間保管することが廃棄物処理法で義務づけられています。
紙マニフェストは年に一度、都道府県等にマニフェスト交付等状況報告書を提出しなければなりませんが、電子マニフェストは情報処理センターが作業を代行してくれます。
排出される産業廃棄物の種類や排出先の現場による分類
排出される産業廃棄物の種類や排出先の現場による分類としては、事業系マニフェストと建設系廃棄物マニフェストの2種類があります。
事業系マニフェスト…産業廃棄物を運搬、処理する場合に用いる
事業系マニフェストとは、産業廃棄物が運搬業者を通じて直接最終処分場へと運搬される場合に用いられるマニフェストです。「直行用マニフェスト」とも呼ばれます。
建設系廃棄物マニフェスト…建設現場から出た産業廃棄物を運搬、処理する場合に用いる
建設系廃棄物マニフェストは、建築・解体などの際に建設現場で発生した産業廃棄物を運搬・処理する場合に用いられます。事業系マニフェストと同じく7枚綴りの伝票になっています。
お役立ち資料
PDFで詳しく見る
3. マニフェストの書き方
事業系マニフェスト、建設系廃棄物マニフェストそれぞれについて、各項目に記入する内容を解説します。
事業系マニフェストの書き方
事業系マニフェストの各項目に排出事業者が記入する内容は、以下のとおりです。交付番号は事前に印字されており、この番号を用いて管理をおこないます。
- ①マニフェストの交付年月日
- ②マニフェストの交付担当者の氏名または名称、住所、電話番号
- ③産業廃棄物を排出した事業場の名称、所在地、電話番号
- ④該当する産業廃棄物の種類をチェック
- ⑤排出する産業廃棄物の重量、荷姿、名称、処分方法など
- ⑥「委託契約書記載のとおり」をチェックするか、最終処分場の名称、所在地を記入
- ⑦運搬業者の氏名または名称、住所、電話番号、運搬先の事業場の名称、所在地、電話番号
- ⑧処分業者の氏名または名称、住所、電話番号(積替えまたは保管をおこなう場合は、その名称、所在地、電話番号)
- ⑨運搬業者の氏名または名称、担当者の氏名(サインもしく受領印)
- ⑩B2票、D票、E票が返送されてきたら照合確認し、その日付を記入
建設系廃棄物マニフェストの書き方
建設系廃棄物マニフェストの各項目に排出事業者が記入する内容は、以下のとおりです。交付番号は事前に印字されており、この番号を用いて管理をおこないます。
産業廃棄物の種類の欄にはコンクリートがら、アスコンがらなどの項目が設けられており、運搬業者を複数記入することができます。
- ①マニフェストの交付年月日
- ②排出事業者の氏名または名称、住所、電話番号
- ③産業廃棄物を排出した事業場の所在地、名称、電話番号
- ④該当する産業廃棄物の種類をチェックし、数量を記入。該当する形状、荷姿などをチェック
- ⑤「委託契約書記載のとおり」をチェックするか、最終処分場の名称、所在地を記入
- ⑥運搬業者の住所、氏名または名称、電話番号
- ⑦2つ目の運搬業者の住所、氏名または名称、電話番号(2つ目の運搬業者がいない場合は、斜線を引く)
- ⑧運搬先事業場の所在地、名称、電話番号、処分方法
- ⑨処分業者の住所、氏名または名称、電話番号
- ⑩積替え保管がある場合は記入(ない場合は斜線を引く)
- ⑪運搬業者の社名および運搬担当者の氏名(サインまたは受領印)
お役立ち資料
PDFで詳しく見る
関連するお役立ち資料のダウンロード