廃棄物処理法で定められる産業廃棄物は20種類に分類されています。そのうち7種類は、事業活動にともなって発生した廃棄物でも、発生源が特定の業種でなければ産業廃棄物にはなりません。その1つが「繊維くず」です。ここでは、繊維くずの具体例や処理方法を解説していきます。
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「産廃担当者が知るべき廃棄物処理法」を1冊にまとめました
新しく産廃担当者となった方向けに、廃棄物処理法を中心に知っておくべきことを簡単に紹介します。
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1. 繊維くずとは
廃棄物処理法に定められている産業廃棄物「繊維くず」に分類されるのは、衣服その他の繊維製品の製造業以外の繊維工業(織布・紡績工場など)、または建設業(建物の新築、改築、または除去によって生じたものに限る)から生じた畳や木綿くず、じゅうたんなどの天然繊維くずが含まれるものをいいます。
ただし、例外としてPCB(ポリ塩化ビフェニル)が染み込んだ繊維くずは、すべて産業廃棄物扱いになります。
繊維くずは、事業活動にともなって発生した廃棄物でも、発生源が特定の業種でなければ産業廃棄物にはなりません。そのため、縫製工場など衣料の生産現場から排出される裁ち落とし・端切れなど(くず繊維と呼ばれます)は、産業廃棄物ではなく一般廃棄物として取り扱われます。
ナイロンやアクリル繊維などの合成繊維は、繊維くずではなく、産業廃棄物の分類のうち「廃プラスチック類」に含まれます。天然繊維と合成繊維の両方を取り扱っている紡績工場などでは、排出された繊維くずの分類の際に注意する必要があります。
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2. 産業廃棄物に分類される繊維くずの具体例
産業廃棄物に分類される繊維くずは、発生場所によってさまざまな種類があります。主な発生場所と繊維くずの種類は以下のとおりです。
- 建設現場:畳、じゅうたん、布くずなど
- 織布・紡績工場:糸くず、木綿くず、麻くず、レーヨンくずなど
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3. 繊維くずの処理について
繊維くずの処理状況および処分の方法についてご紹介します。
繊維くずの処理状況
環境省が発表した「産業廃棄物の排出・処理状況(令和元年度実績)」によれば、「繊維くず」は全体の57%が再生利用、27%が減量化、15%が最終処分されています。繊維くずは排出量が約8万トンと少ないですが、最終処分率が高いことが特徴だと言えます。
最近では、繊維くずを資源として再利用する新たな手法が導入されていることから、再生利用率は年々高くなってきています。
繊維くずの処理方法
繊維くずは、再生できるものは、さまざまな形でリサイクルに回されます。ここでは主なリサイクル例をご紹介します。
マテリアルリサイクル(そのまま原料として再利用)
・衣類を裁断して、汚れをふき取る際に使用するウエスとして再利用。
・繊維くずを反毛機械でほぐし、衣類などの原料となる反毛として再利用。
ケミカルリサイクル(合成繊維に化学的な処理をおこない、繊維の原料として再利用)
・ポリエステルなどが含まれた繊維くずはケミカルリサイクルの上、繊維原料として再利用。
※合成繊維は廃プラスチック類に分類されるため廃棄の処理に注意が必要。
サーマルリサイクル(固形燃料化(RFP化)して再利用)
・繊維くずをRFP化して固形燃料として再利用。
※「RPF」とは、廃プラスチック類などのマテリアルリサイクルが困難なものを主原料とした高品位な固形燃料。
再生処理できない繊維くずは、破砕・焼却をして埋め立てるなど管理型最終処分場にて、最終処分されます。
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