産業廃棄物に関する特殊な取引形態の一つに、「逆有償」と呼ばれるものがあります。逆有償とは、どのような取引のことを指すのか。また逆有償が起きた場合の対応はどのようにすればよいのか。逆有償が起こるケースを交えて、解説していきます。
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「産廃担当者が知るべき廃棄物処理法」を1冊にまとめました
新しく産廃担当者となった方向けに、廃棄物処理法を中心に知っておくべきことを簡単に紹介します。
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1. 逆有償とは
逆有償とは、有価販売によって得た儲けよりも、販売に際して必要な諸々のコストの方が高くついてしまう取引のことです。
廃棄物処理の現場では、例えばスクラップのような、処理業者に対して有価販売できる品物も少なくありません。排出事業者は、こうした品物を処理業者に販売することによって利益を獲得することができます。しかし、状況によっては多額の運搬費用や処理費用が必要になり、最終的な利益がマイナスになってしまうことも。このように、普通であれば儲けが出る取引でありながら、諸々の都合で収支がマイナスになってしまうものを、専門用語で逆有償と呼ぶのです。
古本屋に書籍を売りに行ったけれど、良い金額の買い取り価格が付かず、店舗までのガソリン代や電車代の方が高くついてしまった……。 といったシーンをイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。
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2. 逆有償の対応方法
逆有償になってしまう取引の場合、輸送中の物品は産業廃棄物として扱わなければならないことになっています。そのため、収集運搬に関しては該当する産業廃棄物の許可を有した業者に依頼する必要がありますし、事前の収集運搬委託契約を締結しなければなりません。また、通常の産業廃棄物の収集運搬時と同じく、マニフェストを交付し、回収しなければなりません。 最終処分を行う取引ではないため、マニフェストは最終処分完了の確認ができるE票まで回収する必要はなく、運搬完了の確認ができるB2票まで回収できれば問題ありません。しかし、だからと言ってマニフェストの未交付やB2票までしっかり回収できていなかった場合には、廃棄物処理法違反になってしまうため注意しましょう。
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3. 逆有償の起こるケース
それでは、逆有償はどのようなケースで起きるものなのか、具体的に見ていきましょう。
買い取り単価の相場が変わった
買い取り単価の相場は日々変動しています。以前は高く買い取りしてもらえたものでも、相場が変動することで買い取り単価が下落し、知らないうちに運搬費の方が高くなってしまう可能性があります。逆有償にならないためにも、買い取り価格の見積りをとったり、相場を調べたりして、運賃とのバランスを確認する必要があります。
運搬費が値上がりした
燃料費の高騰やサービスの見直しなどにより、運搬費が値上がりしたことで、逆有償になる可能性があります。運搬費が上昇すると、同じものであっても買い取り価格が運搬費を下回るおそれがあるので、必ず事前にチェックしましょう。
運搬量が減った
過積載の規制が強化されるなど、1回あたりの運搬量が見直されて1度に運べる荷物の量が減ってしまう可能性があります。その場合、以前なら1台のトラックで運搬できていたものが、複数台で運搬することになり、その分運搬費が上昇することになります。大量のものの買い取りを希望する際は、買い取り価格が運搬費を下回っていないか確認してください。
逆有償を知らなかった
純粋な廃棄物であれば委託契約書やマニフェストなどが必要になるため、廃棄物の管理担当者が処理に関わることになるでしょう。しかし、売却となると純粋な廃棄物ではないため、廃棄物の管理担当者を通さずに取引を進める可能性があります。そうすると、逆有償の知識のない可能性が高い担当者が手配することになるため、知らず知らずのうちに運搬費が買い取り価格を上回っていた、という事態が発生するおそれがあります。そのため、逆有償になる可能性を疑えるだけの知識を各部署の社員に身につけてもらえるよう、社内研修や周知などを行い、怪しい場合は廃棄物の管理担当者に相談してもらえる体制を構築することをおすすめします。
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