太陽光から電気を作り出す、環境に優しい発電装置である太陽光パネル。近年では、企業をはじめ一般家庭においても導入・設置されるシーンが増えてきています。しかし太陽光パネルの寿命は永久というわけではなく、いつかは廃棄をしなければなりません。今回は、太陽光パネルの廃棄に関して、廃棄物としての分類区分や、その具体的な廃棄方法、処理方法などについて詳しく解説します。
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「産廃担当者が知るべき廃棄物処理法」を1冊にまとめました
新しく産廃担当者となった方向けに、廃棄物処理法を中心に知っておくべきことを簡単に紹介します。
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目次
1. 太陽光パネルは産業廃棄物として廃棄
廃棄物は、大きく分けて「産業廃棄物」と「一般廃棄物」の2種類に分けられます。産業廃棄物とは、簡単に言ってしまえば事業活動によって生じた廃棄物のことであり、一般廃棄物とはそれ以外の廃棄物を指すケースが一般的です。
しかし太陽光パネルに関しては、鉛、カドミウム、セレンなどの有害物質が含まれているケースがあり、また撤去・廃棄には専門的な知識や技術が必要で、一般家庭から排出される場合であっても基本的には専門業者によって作業が行われるため、産業廃棄物として廃棄しなければなりません。
この際、太陽光パネルはその性質上、産業廃棄物の種類としては「金属くず」「ガラス・コンクリート・陶磁器くず」「廃プラスチック類」の混合物として扱われます。
また産業廃棄物は、廃棄物処理法という法律に基づいて、排出者が責任を持ち適切に処理しなければならないとされています。太陽光パネルの場合、太陽光パネルが廃棄される方法によって誰が排出責任者になるかが変化するため、注意しなければなりません。
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2. ケース別の太陽光パネルの廃棄方法
太陽光パネルには大きく3つの廃棄方法があり、それぞれ排出責任者となる対象や廃棄物としての扱いが異なるため注意が必要です。ここからは、太陽光パネルのケース別の廃棄方法について見て行きます。
太陽光パネルの寿命・故障のケース
太陽光パネルの寿命または故障によって撤去・廃棄するケースでは、太陽光パネルの状態によって、誰が排出責任者になるかが異なります。
まず太陽光パネルが寿命を迎えた場合は、撤去を担当した施工会社や販売会社が排出責任者となります。一方で、太陽光パネルに何らかの不具合があり撤去を余儀なくされた場合には、排出責任者はメーカーとなります。
太陽光パネルは、素人が簡単に撤去できるものではなく、危険性も高い製品です。そのため、太陽光パネルを撤去・廃棄したいと思った場合には、基本的には設置を担当した施工会社や販売会社に連絡をすると良いでしょう。また撤去を担当する側は、その太陽光パネルがなぜ撤去・廃棄しなければならないのかをしっかりと確認し、排出責任者が誰になるのかを正しく認識しておくことが大切です。
家の取り壊しやリフォームに伴い撤去するケース
太陽光パネル単体ではなく、家そのものの取り壊しやリフォームによって撤去・廃棄を行う場合は、家の解体作業を行う解体業者が排出責任者となります。そのため、事前に解体業者に対して太陽光パネルの解体も対応可能か聞いておくと良いでしょう。また解体業者側でも、撤去した太陽光パネルをどういった流れで処分するか、中間処理業者はどこにするのかなどについて、事前に決めておかなければなりません。
太陽光パネルが事故や災害で破損したケース
太陽光パネルが事故や災害で破損し、撤去・廃棄が必要となった場合は、状況によってその扱いが大きく異なるため、注意が必要です。
まず太陽光パネルが設置されている状態で破損してしまい、それを撤去するケース。この場合は、通常の故障したケースと同じで、施工会社や販売会社に連絡をし、撤去・廃棄をしてもらうことになります。
特殊なのが、事故や災害で太陽光パネルが地上に落下してしまった場合です。この場合、太陽光パネルの所有者が排出責任者となります。また落下した太陽光パネルは災害廃棄物となり、産業廃棄物ではなく一般廃棄物として扱われるようになります。
一般廃棄物は、産業廃棄物とは異なり市区町村などの自治体が処理責任を負うこととなっているため、太陽光パネルの所有者はまずは市区町村の担当窓口に相談し、廃棄方法について相談するようにしましょう。前半部分でも解説した通り、太陽光パネルには有害物質が含まれているケースもあり、粗大ごみとして処分することはできませんので注意してください。
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3. 太陽光パネルの廃棄以外の処理方法
太陽光パネルは有害物質を含んでいることから産業廃棄物に分類されるため、一般ごみとして処理することができません。しかし、廃棄以外にも処理方法が存在します。環境にやさしく、適切な処理方法でもあるリサイクルと売却について解説します。
リサイクル
産業廃棄物として処分すると、架台のスチールや架台レールのアルミ、太陽光パネルに使用されるガラスなどの再利用可能な資源はリサイクルされ、その他の資源は廃棄物として適切に埋め立てられることが一般的です。また、現在環境省によって太陽光パネルのリサイクル推進に向けたガイドラインが制定されています。太陽光パネルの利用増を受けて、将来的に廃棄量が増えることが見込まれるので、今後はますます太陽光パネルのリサイクルの環境が整備されていくでしょう。
売却
太陽光パネルは売却することも可能です。新品や中古品、故障品だけでなく、太陽光パネルの電子装置やケーブル、架台、パワーコンディショナーといった部品の買取りまで受け付けている業者が存在します。廃棄だけでなく売却することも視野に、処分先を検討するとよいでしょう。
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