安価で便利な建築資材として、業者はもちろん個人のDIYでも広く活用されている石膏ボード。この石膏ボードを捨てる際は、一般廃棄物ではなく産業廃棄物として扱わなければなりません。そこで石膏ボードの産業廃棄物における分類区分や、その処分の方法などについて詳しく解説します。
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「産廃担当者が知るべき廃棄物処理法」を1冊にまとめました
新しく産廃担当者となった方向けに、廃棄物処理法を中心に知っておくべきことを簡単に紹介します。
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目次
1. 石膏ボードとは
石膏ボードとは、その名の通り石膏という鉱物を板状に成型した資材のこと。価格が安く、またコンクリート製や木製の壁に比べて取付工事がしやすいことから、住宅の壁や仕切りなどの内装として利用されることの多い資材です。また近年ではDIYで便利に活用できるアイテムとしても人気を博しています。
その歴史は古く、日本で初めて石膏ボードが登場したのはおよそ100年前、大正時代のこと。そこから今日まで、石膏ボードは日本人にとってなくてはならない資材として、第一線で活躍し続けています。
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2. 石膏ボードのメリット・デメリット
メリット
- 日本で古くから活用されてきた石膏ボードですが、その最大のメリットは「価格の安さ」。建築資材として活用される機会の多い木材やコンクリートなどに比べ、格段に安い価格で入手することができるため、業務用として利用するのはもちろん、DIYとして利用する際にも高い人気を誇っています。
- 遮音性や防火性に優れているというのも、大きな魅力と言えるでしょう。だからこそ住宅の壁材として使われるケースが多く、防音性の高いクッション素材などと組み合わせることで、オーディオルームやレコーディングルームのような、専用の目的を持った部屋の壁材としても活用していくことができます。
デメリット
- 他の建築資材に比べると脆いという点です。木材であれば釘やネジを打ち込んで固定することができますが、石膏ボードの場合はそうはいかず、石膏が崩れてしまったり、打ち込んだ釘やネジが抜けてしまったりすることがあります。そのため、石膏ボードを固定するためには専用の接着剤や「石膏ボードアンカー」のような器具を用いなければならず、その一手間は石膏ボードならではのデメリットと言えるでしょう。
- 石膏ボードは埋め立てた際に人体に有害な硫化水素を発生させる可能性があり、一般廃棄物として捨てることができないという点も、デメリットの一つです。石膏ボードを捨てる際には、産業廃棄物の一種として、しかるべき処置をしなければなりません。
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3. 石膏ボードの分類は「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」
石膏ボードを捨てる際には、産業廃棄物の種類における「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」として扱われます。
以前は、製造工程で生じた廃石膏ボードは「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」、建築や解体工事の際に生じた廃石膏ボードは「がれき類」、といった形で、廃石膏ボードが排出された状況によって異なる扱いをされていました。
しかし近年では、どのような状況での排出であっても、廃石膏ボードは「ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず」として扱われることになっていますので注意しましょう。
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4. 石膏ボードの処分方法
石膏ボードは雨水などの水で濡れると化学反応を起こし、人体に悪影響を与える硫化水素が発生してしまいます。そのため、石膏ボードを処分する際は適切に対処しなければなりません。それでは、石膏ボードの処分方法について解説します。
排出事業者の処分方法
排出事業者が石膏ボードを処分する場合、一般ごみとして処分することはできません。その際は「産業廃棄物処分業許可」を取得している処分業者に依頼しなくてはいけません。許可を取得していない処分業者に依頼した場合は、排出事業者が5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、又は、その両方が科されてしまいますので注意が必要です。
処理業者の処分方法
石膏ボードの処分方法は、大半が「中間処分施設でリサイクルを行う」ことになりますが、一部は「管理型最終処分場に搬出」されます。各々について説明していきます。
中間処分施設でリサイクルを行う
石膏ボードはリサイクルも進められており、中間処分施設で適切に処理することで、石膏ボードの原材料などに再生利用することができます。
ここでは、石膏ボードのリサイクル方法の一例を紹介しましょう。
まず、1次分別装置で石膏ボードを破砕し、磁選機にて石膏ボード内の鉄を除去します。トロンメルでふるいをかけ、10mm以上のものに関しては、手作業で異物を選別します。異物を除去した石膏を分別装置に投入し、紙を剥離します。剥離紙は圧縮梱包することで、卵の容器や緩衝材などのパルプモールドなどに再利用されます。石膏は粉砕機で微粉末にすることで、石膏ボードやセメントの原材料などになります。
管理型最終処分場に搬出する
石膏ボードは、廃石膏ボードの石膏に含まれる硫黄分が硫酸塩還元菌の働きにより、硫化水素という有毒ガスに変わってしまう危険性があることから安定型処分場で処分されることが禁じられました。平成18年より埋め立て処分する場合は管理型最終処分場に搬出することが求められています。
石膏ボードは排出事業者が直接、管理型最終処分場へ持ち込むこともできます。その場合、処分業者に支払う費用は節約できますが、石膏ボードを長時間放置すると、有害な硫化水素が発生する恐れがあったり、排出日や排出場所などを記載したマニフェストを持参する必要であったりするので「産業廃棄物処分業許可」を取得している処分業者に依頼することをおすすめします。
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