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産業廃棄物に関する資格

排出事業者や収集運搬事業者など、産業廃棄物を扱うには、法律で定められたいくつかの関連する資格を取得しなければなりません。しかし、一体自身がどのような資格を有していれば良いのか、どのような資格が関係しているのか、詳しく把握できていない人も多いのではないでしょうか。今回は、産業廃棄物に関する資格について、網羅的に解説していきます。

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「産廃担当者が知るべき廃棄物処理法」を1冊にまとめました

新しく産廃担当者となった方向けに、廃棄物処理法を中心に知っておくべきことを簡単に紹介します。

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1. 産業廃棄物に関する資格

事業活動から生じるごみである産業廃棄物は、家庭などから排出される一般廃棄物よりも膨大な量があり、中には人体や環境に大きな影響を与えてしまうものもあります。そのため、その取り扱いや処理については、廃棄物処理法と呼ばれる法律で細かく定められており、決められたルールを守りながら、正しく遂行していかなければなりません。
そして、廃棄物処理法で定められたルールの中の一つとしてあるのが、「産業廃棄物を取り扱う場合は、専用の資格を有していなければならない」というものです。

その資格というのが、排出事業者に課せられた資格である、国家資格の「特別管理産業廃棄物管理責任者」と「廃棄物処理施設技術管理者」の2つ。そして、運搬や処理などの委託を受ける協力業者に課せられた資格である、都道府県や政令市による許可の「産業廃棄物収集運搬業」、「産業廃棄物処理業」、「特別管理産業廃棄物収集運搬業」、「特別管理産業廃棄物処理業」の4つです。

ここで重要なのが、自身が排出事業者の場合は、国家資格の2つにだけ気をつけておけば良いというものではない、ということです。
なぜなら排出事業者には「排出者責任」と呼ばれる責務があり、排出した産業廃棄物は自ら処理しなければならないとされています。この責任は、仮に産業廃棄物の処理を他者に委託した場合も無くなることはなく、もし仮に委託先の運搬業者が不法投棄などを行った場合には、当事者である運搬業者と共に罰せられることになってしまうのです。
そのため排出事業者は、先に紹介した6つの資格について、自身に課せられた2つの国家資格はもちろん、委託先の業者に課せられる4つの資格についても、しっかりとその内容を理解し、監督していく必要があります。

以下に、それぞれの資格の概要を解説します。

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2. 国家資格

まずは、排出事業者に必要な資格である、「特別管理産業廃棄物管理責任者」と「廃棄物処理施設技術管理者」から見て行きましょう。

特別管理産業廃棄物管理責任者

特別管理産業管理廃棄物とは、産業廃棄物の中でも特に毒性や爆発性、感染性などが強く、その取り扱いに特別な注意が必要なもののことです。

排出事業者は、この特別管理産業廃棄物が排出される事業場ごとに「特別管理産業廃棄物管理責任者」を設置し、その管理を徹底していかなければならないとされています。

そして、特別管理産業管理廃棄物管理責任者になるためには、以下の専任要件を満たす必要があります。

感染性産業廃棄物を扱う特別管理産業管理廃棄物管理責任者の場合

条件1 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師、保健師、助産師、看護師、臨床検査技師、衛生検査技師または歯科衛生士であること
条件2 2年以上、環境衛生指導員として働いたことがあること
条件3 大学・高専において、医学、薬学、保健学、衛生学もしくは獣医学の課程を修めて卒業した者、またはこれと同等以上の知識を有すると認められる者

感染性産業廃棄物以外を扱う特別管理産業管理廃棄物管理責任者の場合

資格・学歴 卒業した課程 修了した科目 実務経験
条件1 環境衛生指導員 2年以上
条件2 大学 理学、薬学、工学、農学 衛生工学、化学工学 2年以上
条件3 大学 理学、薬学、工学、農学に相当する課程 衛生工学、化学工学以外 3年以上
条件4 短大・高専 理学、薬学、工学、農学 衛生工学、化学工学 4年以上
条件5 短大・高専 理学、薬学、工学、農学に相当する課程 衛生工学、化学工学以外 5年以上
条件6 高校、中学 土木科、化学科に相当する学科 6年以上
条件7 高校、中学 理学、工学、農学に相当する科目 7年以上
条件8 10年以上
条件9 上記と同等以上の知識を有すると認められる者

上記の選任要件を満たした上で、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが開催する講習を受け、試験に合格することで、はじめて資格を取得することができます。

廃棄物処理施設技術管理者

廃棄物処理施設技術管理者とは、産業廃棄物処理施設において、施設が正しく稼働するよう機械や人員の監督を行うもののことです。
この資格を得るための条件は、以下の通りです。

条件 一般財団法人日本環境衛生センターが行う、廃棄物処理施設技術管理者講習を修了すること

この講習は、「基礎・管理課程」と「管理課程」に分かれており、「基礎・管理課程」は20歳以上の人であれば誰でも受講が可能。対して「管理課程」は実務経験を有していることや指定の学部・学科を卒業していることといった要件を満たさなければ受講することはできません。

その名前が示す通り、基礎から学ぶのか、いきなり本題に入るのか、という違いですので、「基礎・管理課程」は合計10日間、「管理課程」は合計4日間と、受講日数にも差があります。

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3. 都道府県知事免許

次に、運搬業者や処理業者に必要な資格である、「産業廃棄物収集運搬業」、「産業廃棄物処理業」、「特別管理産業廃棄物収集運搬業」、「特別管理産業廃棄物処理業」について解説します。

産業廃棄物収集運搬業

産業廃棄物の収集運搬を事業として行う場合に必要となる資格で、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが開催する産業廃棄物収集・運搬課程講習を受講し、修了試験に合格することで取得できます。講習は2日間で、受講料は郵送申込で31,000円、Web申込で30,500円となっています。

ただし、上記の講習を受講するためには、廃棄物処理法第7条と第14条で定める欠格要件に該当しないことが条件です。

欠格要件は、例えば以下のものがあります。

  • 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
  • 禁固以上の刑に処せられてから、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 廃棄物処理法等の法律違反によって罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 廃棄物収集運搬業の許可を取り消され、その取り消しから5年を経過していない
  • 暴力団員や、暴力団でなくなった日から5年を経過していない者
  • 当該事業活動を暴力団が運営している場合
  • その他、当該業務を正しく行えないおそれがあると考えられる理由がある場合

また当然のことながら、そもそも運搬するための車両や施設がないなど、事業を行える状態でない場合も、許可の申請をすることはできません。

これらの条件をクリアした上で、都道府県・政令市に業の許可を申請し許可が出れば、そこから事業として産業廃棄物の収集運搬が行えるようになります。

産業廃棄物処分業

中間処理を含む、産業廃棄物の処分を事業として行うために必要となる資格で、こちらも産業廃棄物収集運搬業と同様、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが開催する産業廃棄物の処分課程の講習会を受講し、修了試験に合格することで、資格取得ができます。講習は3日間で、受講料は郵送申込で49,200円、Web申込で48,700円となっています。

また講習の欠格要件に関しても、先に解説した産業廃棄物収集運搬業と同じです。

加えて、中間処理を行う施設であれば、破砕や焼却、溶融など、求められる機能を有した施設を有していること。最終処分を行う施設であれば、産業廃棄物の飛散や流出、害虫等の発生などを防止する措置がなされていること、埋め立て地の周囲に囲いを設置することなど、実際の運営に関しても細かい規定が定められているため注意しましょう。

すべての条件を満たした上で、都道府県・政令市に業の申請を行い許可が出れば、無事に事業をスタートすることができます。

特別管理産業廃棄物収集運搬業

毒性や感染性があり危険な特別管理産業廃棄物の収集運搬を事業として行う場合に必要な資格で、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが開催する特別管理産業廃棄物の収集運搬課程の講習会を受講し、修了試験に合格することで、資格取得ができます。講習は3日間で、受講料は郵送申込で47,100円、Web申込で46,600円となっています。

講習の欠格要件に関しては、産業廃棄物収集運搬業のものと同じで、暴力団員でないこと、5年以内に実刑を受けていないこと、といった要件が定められています。

また事業を開始するためには、産業廃棄物収集運搬業と同じく、都道府県・政令市に申請を出し、許可を取得する必要がります。

特別管理産業廃棄物処理業

特別管理産業廃棄物の処理を事業として行う場合に必要な資格で、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが開催する特別管理産業廃棄物の処分課程の講習会を受講し、修了試験に合格することで、資格取得ができます。講習は4日間で、受講料は郵送申込で69,300円、Web申込で68,800円となっています。

欠格要件に関しても、これまでの説明と同様の内容が規定されています。

産業廃棄物の中でもより危険性が高い特別管理産業廃棄物は、埋立処分の際には管理型最終処分場で行わなければならない、さらに廃PCBや廃石綿の特定有害産業廃棄物に指定されているものは遮断型最終処分場で行わなければならない、といった基準が定められています。

これらをすべて満たし、都道府県・政令市に申請、許可を受けることで、事業を開始することができます。

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