排出事業者から出された産業廃棄物は、収集運搬業者によって処理業者に運ばれていきますが、状況によっては途中で一度車から下ろし、一時保管と別の車への積替を行うことがあります。これを「積替保管」といい、産業廃棄物の運搬効率や処理にかかるコストの改善が期待できます。ここでは、積替保管の概要やメリット、そして運用時の注意点について解説していきます。
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「産廃担当者が知るべき廃棄物処理法」を1冊にまとめました
新しく産廃担当者となった方向けに、廃棄物処理法を中心に知っておくべきことを簡単に紹介します。
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1. 積替保管
積替保管とは、排出事業者から出された産業廃棄物の収集運搬途中に、廃棄物を車から下ろし、一時保管や別の車に積み替えることです。産業廃棄物の収集運搬に関しては、基本的には排出事業者から処理業者へ直行するのが一般的ですが、場合によってはごくごく少量の廃棄物を、わざわざ遠くの処分場に運んでいる、といった事態になってしまう時もあります。こういった場合に積替保管が活用され、運搬効率やコストの改善を行います。
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2. 積替保管のメリット
積替保管を行う最大のメリットは、運搬効率を改善できるという点です。もし積替保管を行わなかった場合、前述した通り、まだまだ車に積載可能であるにも関わらず、少量の廃棄物だけを持って長距離を移動しなければならないこともあります。そうなれば、当然時間的な無駄が発生してしまったり、車の長距離移動による環境への影響が出てしまったりすることもあるでしょう。もしかすると、一台の車が運搬をしている間に、新たな収集運搬が必要になり、追加のコストがかかってしまう場合もあります。積替保管は、こうした運搬の無駄を省き、効率的に廃棄物を運ぶことによって、排出事業者にとっても環境にとってもやさしい行為となるのです。
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3. 積替保管の注意点
メリットの大きい積替保管ですが、実施に際して注意しなければならないこともあります。ここからは、積替保管の注意点について解説していきます。
積替保管許可
積替保管は、すべての収集運搬業者が実施できるわけではありません。積替保管を行うためには都道府県や政令市の許可が必要になっており、その許可を受けた収集運搬業者だけが、積替保管を実施することができるのです。排出事業者として積替保管を行いたいと考える場合、まずは委託先の収集運搬業者が、しっかりと積替保管の許可を取得しているのかを確認するようにしましょう。
委託契約
積替保管を行いながら産業廃棄物の処理を進める場合、排出事業者から積替保管施設まで運ぶ収集運搬業者と、積替保管施設から処理業者へと運ぶ収集運搬業者が、必ずしも同じとは限りません。その際は、廃棄物処理法に則り、関係するすべての収集運搬業者と委託契約を結ばなければなりません。委託契約の際には、その業者が積替保管場所に運搬をする業者なのか、処理業者に運搬をする業者なのかをしっかりと確認し、委託契約書の法定記載事項である「運搬の最終目的地」の欄についても正しく書き分ける必要があります。
マニフェストの運用
産業廃棄物の収集運搬や処理を業者に委託する場合、マニフェストの発行が必要ですが、積替保管施設を経由するものとそうでないものとでは、マニフェスト伝票の種類が異なるため注意しましょう。積替保管用のマニフェストは、直行用の7枚複写ではなく8枚複写になっており、積替保管施設への運搬終了時に収集運搬業者から返送してもらう書類が追加されています。
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