産業廃棄物の一種に「紙くず」があります。紙くずは、一般家庭やオフィスからも出やすい廃棄物の一つですが、特定の条件下で排出された場合には、産業廃棄物や特別管理産業廃棄物として扱われるため、注意しなければなりません。ここでは、産業廃棄物としての紙くずの定義や具体例、処分方法などについて、詳しく解説します。
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「産廃担当者が知るべき廃棄物処理法」を1冊にまとめました
新しく産廃担当者となった方向けに、廃棄物処理法を中心に知っておくべきことを簡単に紹介します。
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1. 紙くずとは?
紙くずとは、その名の通り紙のゴミのこと。しかし紙くずは、建設業・パルプ製造業など特定の業種で排出された場合あるいはPCBが染み込んだ場合のみ産業廃棄物として扱われます。
廃棄物処理法の第2条の中で産業廃棄物として扱われる紙くずは、以下の2つに分類されます。
1.建設業(工作物の新築、改築または除去により生じたもの)、パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業(新聞巻取紙を使用して印刷発行を行うもの)、出版業(印刷出版を行うもの)、製本業、印刷物加工業の事業活動によって生じたもの
2.PCB(ポリ塩化ビフェニル)が染み込んだもの
そのため、上記1で解説した業種以外で出た紙くずは、産業廃棄物ではなく一般廃棄物として扱われます。また例え建設業から出た紙くずであっても、工作物の新築、改築または除去により生じたものではなく、単にオフィスから出たコピー用紙のようなものであれば、それも一般廃棄物として扱われます。
ただし、PCBが染み込んだ紙くずは、業種を問わず産業廃棄物として扱われ、さらに特定有害物質を含んでいるとして、特別管理産業廃棄物に分類されるため注意しましょう。
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2. 紙くずの具体例
紙くずは業種限定のある産業廃棄物であるため、紙くずすべてが産業廃棄物として扱われるわけではありません。例えば印刷会社において製本の途中で排出された紙くずや、新聞紙の印刷の際に出た紙くずなど、特定の条件下で排出されたものだけが産業廃棄物として扱われます。そのため、まずは廃棄物処理法における紙くずの定義をしっかりと理解し、自身の排出した紙くずが、産業廃棄物になるのか一般廃棄物になるのかをしっかりと把握しておくことが大切です。
代表的な紙くずの例としては、
- 印刷くず
- 製本くず
- 裁断くず
- 建材の包装紙
- 板紙
- 建設現場から出た紙くず
などが挙げられます。
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3. 紙くずの処分方法
紙くずは、環境省発表の「環境省 報道発表資料 産業廃棄物の排出及び処理状況等(平成30年度実績)の概要」によれば、排出量が1,094千トン。産業廃棄物全体の0.3%の割合となっており、排出量としてはかなり低い数値と言えます。また再生利用率も77%で、産業廃棄物の中でも高い部類に入ります。
紙くずの処分については、大きく分けて、再資源化、焼却処理、埋立処理の3つがあります。
再資源化
紙くずの最もポピュラーな処分方法は、再資源化です。古紙のようなものは、そのまま製紙原料としてリサイクルされたり、製紙原料にならないものは固形燃料にされたりなど、数ある産業廃棄物の中でも再資源化がしやすいものの一つと言えるでしょう。
焼却処理
建設工事で出た壁紙や汚れがひどいものなどは、再資源化するのが難しいため、焼却処理が行われます。紙くずの状態によっては、焼却処理を行う前に粉砕や切断が必要になる場合もあります。
埋立処理
紙くずは、焼却をせずそのまま最終処分場に埋め立てられることもあります。この場合でも、紙くずの状態によって粉砕や切断が行われるケースがあります。
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